続かない雑記ブログ -bakucotaの日記

映画ブログです。次書いたらやめるつもりで書いてます。

"サマーウォーズの焼き直しが見たかった"『未来のミライ』感想

 

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https://goo.gl/images/d8Duus


少し前なんですけど未来のミライを見ました。

 

※以下、ネタバレあります。ネタバレせずにうまく書けたらいいんですけど、難しかったです。

 

 

 

 

 

 

 

 

タイトルに記した通りなんですが、自分としてはサマーウォーズっぽいやつが見たかったんですもよね。期待してたものと、ちょい違いました。

 

 

 

 

 

 

 

僕は、"サマーウォーズの主人公の健二くんみたいなキャラの男の子"が、4歳児の時にした不思議な冒険、

みたいなストーリーが今までのTHE・細田守みたいな感じのテイストで描かれるのを期待して見に行ってしまいました。

 

たとえばですけど「主人公・くんちゃんが突如現れた未来の妹のミライちゃんに導かれながら、過去へ未来へと冒険していって、結果現在の家族に降りかかろうとする災厄から救うことにつながる」みたいなものを勝手に想像していたのです。

こういうのは、ジャンルとしては典型的な"セカイ系"というものに当たるので、細田守作品はおろか最近のアニメ映画としてはなかなかにありきたりっちゃありきたりなのですが、ぶっちゃけそんな典型的なものが見たかったんすよね。

僕以外でも、今までの細田守作品を見てきた人は、そういう類のものを期待して見にいった人いたんじゃねぇかな。

 


そしたら、なんだかよくわかんないけど、この映画はその実

"わがままな4歳児のホームビデオ"

だったんですよ。 

あれは、ホームビデオだと思う。

 


ほとんど4歳児のくんちゃんがダダこねて、それをお父さんお母さんがなだめるシーンがメインみたいな感じだったんすよね。

子育てのシーンをリアルに描いていることはあの映画の一つの大きな特徴なのですが、そこをあまりにリアルに描きすぎて、それがマイナスに振れているんです。

 

マイナスなんですよ。百歩ゆずってあのストーリーでも、くんちゃんにもう少し可愛げさえあれば楽しく見れたかもしれない。

でも、あえて誤解を恐れずに言えば、

くんちゃんは、2次元のキャラクターだと言う大前提の下であえて言うのであれば、

リアルな"ク◯ガキ"なんですよ。

 


いくら善悪の分別がついていないような年齢とはいえ、生まれたばかりの自分の妹の鼻を摘んで爆笑したり、泣かせた上に新幹線のおもちゃで叩いたり。

それで怒られた挙句にでかい声で泣くのは子供だから仕方ないとしても、

赤ちゃんに暴力を振るうのは「子供だから」で許されるレベルを超えている。そんないたずらをしているクソ◯キなんですよ。

その時点でもう映画は見ている人には、くんちゃんに対する共感の余地は無いと思うんですよね。

子供としてのくんちゃんのリアルな動作を描写したかったんでしょうけど、あまりにリアルな◯ソガキが描かれていて、面白みがなくなってしむっているんですよ。


わざわざ映画館に映画見にきて、そんでスクリーンに広がったのがク◯ガキのホームビデオですよ、なんでやねん!!!!!!!!!!!

てなってしまった。

 

 

 

 

 

ほんと、サマーウォーズみたいな冒険ものでよかった気がします。サマーウォーズは個人的にはツボな映画でした。

公開当時僕は高校生だったんですけど、最初にこんなに面白いアニメ映画があるのかってひたすら感動していました。

エンディングのどことなく懐かしい山下達郎の『僕らの夏の夢』も最高で、思春期真っ盛りの夏にあんな映画体験ができたのは幸福以外の何物でもなかったです。

 


だから今回の映画で、オープニングの山下達郎の『未来のテーマ』がその興奮を思い出させてくれて、劇場でまた鳥肌がたちました。

ただ、思いっきり期待してしまっただけに、その中身に拍子抜けしてしまった。

もうサマーウォーズみたいなドキドキは味わえないのかな。それは歳のせいなのかな。未来のミライも高校生の時に見られたら面白かったのかな。まぁわかんねえけど。

 

 

 

んで、さんざホームビデオって書いてきましたけど、この映画の中の子育て観が正しくあるかっていうとそんなことはない気がして、ひとつ決定的に違和感を感じたシーンがありました。

くんちゃんが、家のダイニングに飾られた雛人形に興味を持つシーン。

「ひな人形、ほしい」に対して

そこでくんちゃんのお母さんが「くんちゃん、男の子でしょ!」と、くんちゃんの関心を一蹴するんですよね。

 

これは「ひな人形は男の子が興味を持つようなものではない」という昔の価値観の押し付けに他ならないし、

ていうか、そもそも未来から来ているミライちゃんが、「ひな人形、一日片付け遅れたら一年嫁に行き遅れるから、片付けて!」みたいな、いつの方ですか?みたいな「嫁入りへの負のジンクス」をめっちゃ気にしてる描写も、完全に男が描いた"女のコ"の視点だと思うんですよね。ちょっと、キモい。


この映画の中での子育ては、一見すれば「未来感あるデザインの家のなかで、夫が積極的に子育て・家事に参加していく」っていう体をなしていて、これからあるべき新しい子育てのあり方が見られそうな感じがしているんですが、

実際には旧来の価値観での思考停止が見られたりして、もうアベコベなんですよ。

物語全体に見られる起承転結のなさも含めて、なんかよくわかんなかったな、で終わってしまう。

 

ただ、駄々をこねる子供の描写はリアルなので、この映画には子育てで奮闘した・奮闘しているパパママたちがそこに共感できる、という意味での良さはあると思います。

なので、個人的には、また見るのは親になってるかもしれない10年後とか15年後くらいで、

金曜ロードショーでやっていたら、

それくらいでいいかなと思いました。

 


これまでずっとこの映画を落とす事しか書いてないですが、最後に上げる、というかものすごく良かったと思う点を一つ書くと、この映画で描かれていた『未来の東京駅』のデザインは最高だと思っています。

 

 

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https://goo.gl/images/eTDnVY

 

これです。
これはフランスにあるオルセー駅と、辰野金吾設計の東京駅の双方のデザインをうまく混ぜつつ、近未来的なテイストを違和感なく取り入れている文句のつけようのない、駅なんですよ。

洗練されすぎ、クソかっこいい。

 

この映画が、このクソかっこいい東京駅をプラットフォームにしつつ、くんちゃんが冒険する映画だったらぼくには大好きな映画だったろうなぁ、と思います。

 

以上

 


つづく,